最近、仕事で使うPowerPoint資料をChatGPTに作ってもらうことが増えました。
以前は、白紙のスライドを開き、
「この資料では何を伝えるのか」
「どの情報を残して、何を削るのか」
「数字をどう見せるのか」
と考えながら、ほぼゼロから作っていました。
今は、資料の目的や説明相手、参考資料などをChatGPTに渡せば、かなり完成形に近いPowerPointが出てきます。
何もない状態から自分で作るより、圧倒的に早い。
一方で、最近少し気になることがあります。
自分でPowerPoint資料を作る力が、以前より鈍っている気がするのです。
そう感じたのは、ある事業について説明する1枚の資料を作っていたときでした。
1枚の説明資料を作ろうとして手が止まった
今回作ろうとしていたのは、担当している事業について説明する資料です。
説明相手は、全国にいる各拠点の責任者。
現在の実績や課題を伝えたうえで、今後の営業活動につなげることが目的でした。
資料は基本的に1枚です。
現在の状況。
市場の可能性。
これまでの取り組み。
今後やるべきこと。
入れようと思えば、いくらでも情報があります。
しかし、一番重要な、
「この1枚を見た相手に、結局何をしてほしいのか」
が自分の中で整理できていませんでした。
実績が足りていないことを伝えるのか。
事業に可能性があることを伝えるのか。
具体的な営業活動をお願いするのか。
どれも必要に思えます。
でも、全部を同じ強さで入れれば、結局何も伝わりません。
PowerPointを開いたものの、なかなか手が進みませんでした。
自分で作ると、結局文字ばかりになった
ひとまず、自分で何ページか作ってみました。
タイトルを書く。
伝えたい内容を箇条書きにする。
関連する数字を入れる。
説明が足りない気がして、文章を追加する。
作業を続けているうちに、完成したのは文字ばかりの資料でした。
グラフを入れた方がよいことは分かっています。
写真やイメージ図があれば、もう少し見やすくなるとも思います。
ただ、
「どの数字を、何と比較すればよいのか」
「どんな絵を入れれば、今回のメッセージが伝わるのか」
というところで、また手が止まります。
適当なグラフや写真を入れても、単なる飾りにしかなりません。
資料に必要なのは、空いているスペースを埋めるための絵ではなく、文章より分かりやすく伝えるための絵です。
そこまで考えると、何を入れればよいのか分からなくなりました。
以前なら、もう少し自分で試行錯誤できていた気がします。
しかし今回は、何度配置を変えても、うまくまとまりませんでした。
過去の会議資料と調査結果をChatGPTに渡した
結局、自分で作りかけた資料をいったん諦め、ChatGPTに頼ることにしました。
渡したのは、前回の会議で使用したPowerPoint資料と、Deep Researchで調べた内容をまとめたWord資料です。
そこに、
- どのような相手に説明するのか
- 1枚にまとめたいこと
- 現状の課題
- 今後につなげたい行動
などの条件を加えて、PowerPointを作ってもらいました。
すると、短時間で資料のラフ版が出てきました。
ラフ版とは言っても、感覚としてはほぼ完成形です。
白紙から自分で作るより、圧倒的に早い。
情報もある程度整理されています。
「最初からChatGPTに頼めばよかった」
と思いました。
ただ、出力された資料にも違和感は残りました。
ChatGPTに作ってもらっても、文字中心の資料になった
ChatGPTが作った資料も、最初は文字が中心でした。
考えてみれば、当然なのかもしれません。
渡したWord資料は文章が中心です。
こちらから、
「この数字を棒グラフにする」
「この部分を事業の流れとして図解する」
「ここには実際の使用場面が分かる写真を入れる」
といった具体的な指示も出していませんでした。
さらに、僕自身が一番伝えたいメッセージを決め切れていません。
材料をたくさん渡せば、ChatGPTが勝手に重要な部分を見つけ、伝わる1枚にしてくれる。
どこかで、そんな期待をしていたのだと思います。
しかし、
作る側が何を伝えたいのか決められていなければ、AIに任せても資料の軸は決まりません。
ChatGPTは、渡した情報を整理して並べることはできます。
ただ、社内でこれまでどのような話をしてきたのか。
説明相手が、その事業にどれくらい関心を持っているのか。
今回の会議で、どの程度強いメッセージを出すべきなのか。
そうした背景まで、すべて理解しているわけではありません。
最終的に何を言うかは、やはり自分で決める必要があります。
昔は、最初に手書きで骨子を作っていた
以前の僕は、PowerPointを開く前に、手書きで資料の骨子を作っていました。
誰に説明するのか。
何を伝えたいのか。
説明した後、相手に何をしてほしいのか。
どの順番で話せば伝わるのか。
紙に四角や矢印を書きながら、頭の中を整理していました。
もちろん、最初からきれいにまとまるわけではありません。
途中で順番を入れ替える。
必要だと思っていた情報を削る。
一度作ったページを丸ごと捨てる。
そうした試行錯誤を繰り返しながら、資料の形を作っていました。
最近は、この工程を飛ばして、いきなりChatGPTに参考資料を渡すことが増えています。
その結果、PowerPointの操作だけではなく、
資料を作る前に、自分の頭で考える時間も減っていたのかもしれません。
今回うまく作れなかった原因は、図形の配置やデザインだけではありません。
そもそも、
「この資料で何を言うのか」
を決められていなかったことの方が、大きかったと思います。
鈍ったのは、PowerPointの操作だけではなかった
PowerPoint資料を作る作業にも、ある程度の慣れがあります。
どれくらいの文字量なら、1ページに収まるのか。
情報を横に並べるのか、縦に並べるのか。
表にするのか、グラフにするのか。
どのくらい余白を残せば見やすいのか。
こうした感覚は、実際にスライドを作りながら身につけてきました。
手を動かさなくなれば、以前使っていた機能やショートカットも少しずつ忘れます。
ただ、それ以上に鈍っていたのは、
情報を資料の形に変える前の思考
だったのかもしれません。
ChatGPTに資料を作ってもらえば、白紙のスライドと向き合う時間は減ります。
その代わり、自分で一から構成を考える機会も減ります。
便利な道具を使うことで、これまでやっていた作業をしなくなる。
考えてみれば、当然のことです。
だからといって、ChatGPTを使わないのも違う
では、PowerPoint資料をすべて自分で作る方法に戻した方がよいのでしょうか。
僕は、そうは思いません。
資料の構成を考える。
文章を短くする。
数字を整理する。
図や表を作る。
レイアウトを整える。
誤字や数字を確認する。
資料作成には、かなりの時間がかかります。
その一部を生成AIに任せられるのであれば、使わない理由はありません。
資料のたたき台を短時間で作ってもらい、その後の確認や修正に時間を使う。
複数の構成案を出してもらい、その中から使えそうなものを選ぶ。
自分では思いつかなかった見せ方を参考にする。
このような使い方ができれば、資料作成は確実に効率化できます。
問題は、ChatGPTを使うことではありません。
出力された資料を、自分で判断できなくなること
だと思います。
AIにほぼ完成形を作ってもらい、人が仕上げる
今後は、ChatGPTにラフ版という名の、ほぼ完成形の資料を作ってもらう形になると思います。
ただし、その前に人間側で最低限の骨子を作る。
誰に説明するのか。
何を伝えるのか。
その資料を見た相手に、何をしてほしいのか。
この部分だけは、最初に自分で考えます。
そのうえで、過去の資料や調査結果をChatGPTに渡し、構成やレイアウトを作ってもらう。
出力された資料を見ながら、人の手で、
- 本当に伝えたいメッセージになっているか
- 数字や事実に間違いがないか
- 不要な文章が入っていないか
- グラフや写真に置き換えられないか
- 説明相手や社内の状況に合っているか
を確認していく。
この分担が、今のところ一番現実的です。
AIに全部を任せるのではなく、AIに完成形に近い下書きを作ってもらい、人間が判断して仕上げる。
PowerPoint資料の作り方は、少しずつその形に変わっていくのだと思います。
AIを使っても、最初の一言は自分で考えたい
今後、PowerPoint資料を作るときに生成AIを使う機会は、さらに増えると思います。
僕自身、これだけ便利なものを知った以上、毎回すべてを白紙から作るつもりはありません。
ただ、
「なんとなく違うけれど、どこを直せばよいのか分からない」
という状態にはなりたくありません。
出力された構成が悪ければ、自分で組み替える。
文字が多ければ削る。
必要なら、グラフや図を自分で作る。
AIに任せる部分が増えても、最後に判断する力は残しておきたいと思います。
そのためにも、次に資料を作るときは、いきなり参考資料をChatGPTへ渡すのではなく、最初に紙へ一言だけ書いてみるつもりです。
「この資料を見た人に、結局何をしてほしいのか」
その一言が決まっていれば、ChatGPTも今より使いやすくなるはずです。
まあ、その一言がなかなか決まらないから、毎回資料作りに苦労するんですけどね。


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